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ピアノを弾く主人公を描いた、第一巻の表紙。(二ノ宮知子/講談社)
クラシック音楽は難しそうだし、ほとんど聴いたこともない――そんな子どもたちの間に「クラシック音楽マンガ」が大流行しています。
2001年から女性コミック誌「Kiss」に連載中の「のだめカンタービレ」は、ピアノ、ヴァイオリン、ティンパニー、オーボエ、指揮など、クラシック音楽を学ぶ音大生たちが繰り広げる青春コメディーマンガです。
主人公の「のだめ」こと野田恵は小さな頃からピアノを弾かせると天才的に上手ですが、楽譜を読むのが大の苦手。性格は明るく素直なのに、日常生活ではお風呂嫌いの上、部屋はゴミだめのように汚く、とてもだらしないところがあるのです。そんな彼女がひたすら恋する相手が、有名なピアニストを父に持ち、ハンサムで勉強はいつもトップ、指揮者を目指す音大のプリンス・千秋真一です。2人の、うまくいきそうでいかない恋のお話をベースに、クラシックの名曲の解説や楽器演奏の面白さ、そして演奏する人から見たオーケストラの様子などが織り込まれています。
現在、13巻まで出版された単行本は700万部を超えるヒットになり、マンガに出てきたクラシックの名曲を聴いてみたいと思う子どもたちも急増しています。ラフマニノフのピアノ協奏曲、ショパンの幻想即興曲など、作中に登場するクラシックの名曲を集めたCD「のだめカンタービレSelection CD Book」は売り切れるほどの人気で、2005年9月には千秋真一が指揮をしたという設定で企画されたブラームスの交響曲第1番のCDもリリース。また作中で主人公たちが演奏していた名曲を実際に楽しむ音楽会も開かれています。
マンガ好きのお母さんと一緒に「のだめカンタービレ」を楽しんでいるという高校生の仁美(ひとみ)さんも、この作品をきっかけにクラシックを聴くようになったといいます。
「ラフマニノフのピアノ協奏曲のCDを買って、母と一緒に聴いて『へー、千秋が弾いていたのはこんな曲だったんだね』と言い合ってます」
ユニークなキャラクターと、思わず引き込まれるストーリー、そしてページの中から聞こえてくるきれいな音――そんな「のだめ」の魅力が、クラシック音楽と縁がなかった普通の子どもたちをも惹きつけているようです。
(2006年1月更新)