今、たいていの女子高生のカバンの中にはカメラが入っています。といっても重い本格的なカメラではなく、ほとんどが「レンズ付きフィルム」と呼ばれる使い切りのカメラです。これで何を撮るのでしょうか。特別なものではなく、教室などでのありふれた日常シーンです。
レンズ付きフィルムは1986年に発売されました。現在は多くの種類がそろっています。白黒やセピア色の写真が撮れるもの、フラッシュや望遠レンズの付いたもの、水中撮影ができるもの、立体写真が撮れるものがあります。1秒間に数コマの連写ができるもの、新写真システム(aps)に対応した小型のものも出ています。さらにハローキティなど人気キャラクターの絵を描いたものもあり、実に様々です。現在、年間8,000万個のレンズ付きフィルムが売られています。東京の新宿にあるカメラ店の話では、週末や休日には1日で200個以上の売上げがあるそうです。
女子高生に人気があるのはモノクロ写真やセピア色の写真が撮れるタイプのもので、値段も安く、1つ千円ちょっとです。仕上がりが、古い映画のワンシーンのようになります。カラー写真に慣れた中高生には、色がついていないことが逆に新鮮なのです。
このカメラ熱は「プリント倶楽部(プリクラ)」から生まれたものでした。プリクラを撮るためにカメラの前でポーズすることの楽しさに気づき、いつでも自由に自分たちの写真を撮りたいという欲求が生まれてきたのです。プリクラでは、顔しか写せません。カメラがあれば全身が写せるし、何でも好きなものをいつでも撮れます。
おもちゃメーカーもこのブームに目をつけ、子供向けカメラの市場に参入してきました。カメラ熱は小学生にも広がっています。今年の夏、ある大手おもちゃメーカーが2センチ×3センチの小さなポラロイド写真が撮れるカメラを発売する予定で、今から話題を呼んでいます。
大人の間では、フィルムを使わずに写真が撮れるデジタルカメラが人気です。デジタルカメラで撮った写真は、パソコンで見たり保存したりできます。
ところが、驚いたことに、誰もが新しいカメラに夢中になっているというのに、中古カメラの人気も着実に高まっているのです。世界中の中古カメラを集めてデパートなどで開かれる中古カメラのセールは、ここ数年間に売上げが急増しているとのことです。日本人のカメラ熱は、当分収まりそうにありません。
|