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流行通信 和のおけいこ | ||||||||||||
これまで子どもたちの習い事と言えば、ピアノや英語、スイミングなどが一般的でした。ところが最近は幼い頃から、茶道・三味線など日本の伝統的な文化を体験させたいと思う親が増え、また2002年から中学校で和楽器を取り入れた授業も始まり、和のおけいこごとの人気が徐々に高まっています。 「『イヤーッ』と大きなかけ声を出して、カーンと大鼓を打つと、びっくりしてひっくり返ったり、大声で笑い出したりする子どももいるんですよ」 舞と謡(うたい)と囃子(はやし)を合わせて演じられる、日本の伝統的な歌舞劇・能楽。この囃子方大倉流の大鼓奏者・大倉正之助さんは、学校訪問での演奏会の様子を楽しそうに語ります。大倉さんは二十数年前から日本全国の幼稚園、小中学校等を回って、100回以上のワークショップを開き、笛、大小鼓、太鼓などの和楽器体験を通して、本格的な能の指導を続けています。
「『子どもに和楽器や謡(能楽の歌唱)は難しすぎる』と思う大人も多いんです。でも実際にやってみると、子どもたちは楽しそうだし、集中力もすごい。日頃楽しんでいるゲームやサッカーと同じだね、と笑うんです。初めて大鼓の音を聞いて『時を超えた存在を感じました』と言ってくれた小学3年生の男の子もいました」 2005年3月、大倉さんを中心に能楽専門家たちが指導したワークショップ「こども能チャレンジ2005」では小学生から高校生まで50人が能楽に挑戦。約10回のおけいこで演じ方、囃子方などを本格的に学び、最後は東京芸術劇場で発表を行いました。「学校でも家庭でも身近に和楽器や謡があるような環境を子どもたちに作っていきたいですね」と大倉さんは言います。
また東京都北区を活動拠点とする茶道裏千家の「音無青年部」が、毎年実施している「わんぱく茶会」「チャレンジ茶会」では、子どもたちがお茶とお菓子を楽しんだり、実際にお点前にチャレンジしています。また、04年6月から12月にかけては「こども茶道教室」を開催。小学1年から中学3年までの男女21人が本格的な茶道のおけいこや和菓子作りなどを体験しました。 「おけいこの時、子どもたちの集中力はすごいものがありますね。普段の生活とは違う豊かな時間の流れを感じてくれたのではないでしょうか」と、音無青年部副部長の椿克美さんは言います。受講生で小学3年生の女の子は、「『一期一会』(茶会に臨む時、一生に一度の機会と思って誠意を尽くせという茶道の教え)を忘れないで小さな事も大切に思える人になりたいです」という感想を語ってくれました。 日本に昔から伝わる文化の楽しさと奥深さを感じる機会が、子どもたちの間に増えつつあるようです。 |