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流行通信
2003年1月−3月

ボブ・サップ


ボブ・サップ
一見怖そうなボブ・サップですが、持ち前のあいきょうで子供にも大人にも大人気です。(株式会社 プロシード)

 身長2メートル、体重170キロ。「野獣」と呼ばれる巨大な男が、日本の子どもたちの心をわしづかみにしています。彼の名はボブ・サップ(28歳)。アメリカ出身の格闘家ですが、格闘技に興味のない子どもたちだって彼のことは大好きです。なぜでしょうか?

 昨年4月に初来日して以来、K-1、PRIDEなどの格闘技の試合でデビューしたばかりなのに、チャンピオンを破るなど技術を超えた天才的な強さを証明したのです。

 迫力のある顔立ちであの強さ、そして恐ろしいほど大きな体。でも、「あの筋肉、人間を超えてる!」と、格闘技ファンの子どもたちは皆あこがれの目で見ています。しかし、サップは不思議な人です。いったんリングを降りると、まるで別人に変わってしまうのですから。

ボブ・サップ
(株式会社 プロシード)

 この大人気のアメリカ人格闘家は、11月から毎日のようにテレビに出るようになりました。しかし格闘技番組にではありません。なんと、お笑いを売り物にするバラエティ番組にです。ぐるぐるとよく動く愛らしいどんぐりまなこ、派手なアクション、表情の豊かさ、それに通訳がいることを感じさせない会話のタイミングのよさ、ユーモア……。おかげでテレビには引っぱりだこで、年末年始の出演依頼は200件を超え、CMの出演依頼も30社以上からあったそうです。

 そんな愛きょうも手伝って、道を歩けばすぐにサイン攻め。それでもいやな顔ひとつせずに気軽に応じてくれる、礼儀正しくてやさしい人でもあるのです。リングの中と外でのこのものすごいギャップこそが彼の「人気の秘訣」だったのです。「パワーだけじゃなくて、けっこう頭よさそう」「すごくおもしろいから、出る番組は全部見てる」「ぜったいヒーローだよ。ぼくは大好き」と、とにかく子どもたちには評判がいい。

 警察官の父に育てられ、子どものころから運動神経抜群だったサップは、10歳でアメリカンフットボールを始めました。ワシントン大学アメフト部で活躍し、卒業後はNFLのシカゴ・ベアーズに入団しました。ところが3年後にアキレス腱を痛めてやむなく引退。その後はプロレス団体に所属し、「ザ・ビースト」というリングネームでデビューしましたが、所属団体が倒産してしまいます。アメリカでは挫折の繰り返しだったようです。

 だからこそ、日本で新しく見つけた格闘技の道では失敗は許されません。プロとして自分のキャラクターを生かし、必死で努力しているのです。

 サップはラップも歌います。テレビで、自ら作詞したラップの曲とともに得意のダンスを披露したところ、レコード会社のスタッフの目にとまり、歌手としてもデビューすることになりました。CD「SAPP Time」は3月5日に発売されました。「人並みはずれたリズム感と、太く低いビースト・ボイス」が魅力とのこと。これでまた彼のファンは一挙に増えることでしょう。

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