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流行通信
2000年4月−6月
Xスポーツ

 日本の小中学生に、今いちばん「かっこいい」スポーツは? ときけば、小さな車輪が4つついた板一枚で多彩なトリックとダイナミックなアクションを生み出すスケートボード、シューズが体に固定されていて車輪が一列に並んでいるためほかの競技では実現できない過激なトリックが可能なインラインスケート(ローラーブレード)、そして過酷な自然環境の中で高度なライディングテクニックを競うバイシクルモトクロス(BMX)とこたえる子が多いでしょう。

 これらのスポーツの特徴は、タイムや得点を競うことだけに主眼が置かれた従来のスポーツと違って、その選手ならではのスタイルの演技を見せて勝負することです。このような新しいスポーツを総じてエクストリーム・スポーツ、略してXスポーツといいます。先にあげた3つが「B3」と呼ばれて特に人気がありますが、ほかにも、クライミング、サイクルフィギュア、ボディーボード、サーフィン、バンジージャンプ、さらにウィンター・スポーツのスノーボード、スキーボード、ジェットスキーなど多くのスポーツが含まれます。

 アメリカではXスポーツの世界大会ともいえる「X-Games」が、あるケーブルテレビ局の主催で数年前からサンフランシスコで毎年開かれています。日本でXスポーツが注目されたのは、1999年夏に開催されたこの大会のインラインスケート部門で、3人の日本人選手が優勝したことがきっかけでした。

 安床栄人(やすとこ・えいと)君(17歳)はこの大会で、ハーフパイプ(パイプを半分に切った形にカーブした滑走面)を利用してさまざまなトリックを競う「AGGRESSIVE VERT」という競技の男子部門で優勝しました。両親がともにプロのローラースケーターだったことから2歳でローラースケートを始め、8歳でインラインスケートに転向、現在は世界のトップスケーターの1人です。実は弟の武士(たけし)君(14歳)もスケーターで、この大会に参加しました。2人は国際的に活躍中の兄弟スケーターとして注目を浴びています。

 「AGGRESSIVE VERT」女子部門の優勝者、川崎鮎美さん(16歳)は9歳でインラインスケートを始め、12歳のときに米国カリフォルニア州ベニスビーチで行われた大会で最年少チャンピオンになりました。また矢部さやかさんは、いくつかの障害物が設置されたコースでトリックを競う「AGGRESSIVE STREET」の女子部門で2度目の優勝を遂げました。

 スケートボードやマウンテンバイクはすでに10年ほど前から人気がありますが、多種多様なスポーツが加わった「Xスポーツ」は、今後ますます人気が高まっていくでしょう。


写真: ハーフパイプで空中にジャンプするインラインスケーター(内田肇)

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