正月は一年の初めの月という意味ですが、学校の冬休みと重なることもあって、両親のふるさとに帰ったり家でくつろいだりして、のんびりと過ごす休日です。そして、正月には子どもたちは大人からお年玉と呼ばれるお金をもらう習慣があります。伝統の正月料理や遊びよりも年に一度のお年玉を楽しみにしている子どもは少なくありません。
正月には神様に大きな鏡餅を供えますが、一緒に小さな餅を作って家族がもらいます。それは神様からいただくものだと考えられているので古くは年玉とよばれました。昔は誕生日に関係なく年神様から年玉をもらうことによって正月に1歳年を取るとも考えられていたのです。その後いつしか、お年玉は新年を祝う贈り物のことを指すようになり、子供など目下の人に、親など目上の人が贈るようになりました。品物は扇や薬、餅が中心で、男の子には凧、女の子には羽子板などのおもちゃが贈られることも多かったようです。
けれども今ではお年玉はほとんどお金に変わってきて、正月にもらうこづかいという意味合いが強くなっています。子どもたちは、両親、祖父母、叔父叔母、両親の仕事関係や近所など、身近な大人からお金をもらいます。お年玉はポチ袋と呼ばれるかわいらしい絵が描かれた手のひらサイズの封筒に入れてもらいます。お金をむきだしで受け渡しすることは下品だと考えられているからです。もらった方も、その場ですぐ開けてみることは相手に失礼だとされています。いくら入っていたか、あとでこっそり確認してみるのも楽しみの一つですが、きょうだいやいとこがいると金額の多少でけんかになってしまうこともあります。宮城県に住む小学校3年生の浅木駿祐くんは「妹は3歳も年下なのに同じ金額なんて、僕のほうが損した感じ」と同じ金額では不満そうです。
日本のある銀行の2003年の統計では、平均すると「お年玉をくれる人は6.2人。金額は合計で約2万5千円」というデータが出ています。気になる使い道ですが、全部自分で使えることはあまりありません。集まったお金の一部でお菓子やマンガなどの比較的安いものを買って、残りのお金は両親に預けるか、貯金することがほとんどです。家庭によっては、ふだんは買えないような高いものを買うことを許されることもありますから、正月の子どもたちは一年で最もわくわくしています。
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