SF小説や映画の世界では、人間のように話したり、仕事をしたりするロボットがさまざまな場面で活躍し、私たちをワクワクさせてくれます。人間と同じように自分で考えて行動し、感情を表現できるロボットを完成させることは、人類の夢と言ってもいいでしょう。そんな高性能ロボットが人間とともに暮らす未来を目指し、日本では、いろいろなロボット研究が進められています。
ロボット宇宙飛行士
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国際宇宙ステーション(ISS)に到着したキロボ
きぼうロボットプロジェクト事務局 提供
あなたが遠くの惑星を目指して旅をする宇宙飛行士になって、長い時間を独りぼっちで過ごす宇宙船の中を想像してみてください。そこでの話し相手は、高度な人工知能を持ったロボットかもしれません。
2013年8月、地球を周回している国際宇宙ステーション(ISS)に、東京大学と日本の自動車メーカーなどが開発したロボット宇宙飛行士「キロボ」が到着しました。キロボは身長約34㌢、体重約1㌔と小型ですが、宇宙での人とロボットの会話実験を目的に作られた人間型ロボットです。
キロボは、あとからISSに到着する日本人飛行士、若田光一さんの顔を覚えていて、顔を見ると「若田さん、こんにちは」とあいさつします。相手の話に「うん」「そうだね」と身振りをまじえて相づちを打ったり、相手から「難しい」「困った」などの言葉が出てくると、人工知能で相手の感情を推測して「それは大変だね」と慰(なぐさ)めたりします。
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無事に起動しISS内を遊泳するキロボ。宇宙での第一声は「2013年8月21日、未来の希望へ、ロボットの第一歩です」でした きぼうロボットプロジェクト事務局 提供
宇宙に出発する前に、キロボと開発者とが会話する様子が公開されました。「会話のできる初めてのロボット宇宙飛行士だね」と誉められたキロボは、「僕にとっては小さな一歩だけど、ロボットにとっては大きな一歩なのです」と、人類で初めて月面に降り立った米国の宇宙飛行士アームストロング船長の言葉を引用して会場を沸(わ)かせました。ユーモアのセンスも持っているようです。
![]() きぼうロボットプロジェクト事務局 提供 |
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キロボは1年半の間、宇宙に滞在する予定で、地上からの指示や、実験の作業手順を説明する役目も担います。キロボの実験は、人間とロボットがより良いコミュニケーションを取るための“大きな一歩”として、注目を集めています。