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ハイテクジャパン

日本の健康食品「納豆」が水をきれいにする


パート2

水の汚れをきれいにする納豆パワー

さらに最近見つかった働きは、食に関わるものだけではありません。ポリグルタミン酸には、水の中の汚れを集めて、水をきれいにしてくれる働きがあります。ポリグルタミン酸で作られた浄水剤は、ポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄のような化学薬品でできた浄水剤とくらべて、水をきれいにする速度が速いのが特徴です。そのうえ、化学薬品を使う場合とちがって1種類の浄水剤だけですむので使い方が簡単、天然成分由来なので環境にやさしい、価格が安い、といった多くのよい点があります。

 この浄水剤は、工場やわたしたちの生活から出る汚れた水を処理するのに利用されています。また、日本政府の支援による、バングラデシュでの飲み水をきれいにする事業などにも使われています。


ポリグルタミン酸が水の汚れを集め、水がきれいになるしくみ。

ポリグルタミン酸が水の汚れを集め、水がきれいになるしくみ。水の汚れを表す○(1)を、白い糸状のポリグルタミン酸が集めて(2)、沈める(3) (図版提供=日本ポリグル)


海外で浄水剤を使って水をきれいにしている様子 きれいな水によろこぶバングラデシュの子どもたち

左:海外で浄水剤を使って水をきれいにしている様子
右:きれいな水によろこぶバングラデシュの子どもたち (写真提供=日本ポリグル)

ポリグルタミン酸

ポリグルタミン酸は、水をきれいにするだけではなく高い吸水性を持つこともわかってきた。ポリグルタミン酸が主成分の「納豆樹脂」(ビーカー手前の白い固体)が、吸水後、ビーカー内のジェルのような状態になる(写真提供=原敏夫・九州大学准教授)

 浄水剤は、バングラデシュ以外にも、タイ、メキシコなど世界30カ国以上に輸出されていますし、先日の東日本大震災では、被災地で生活に使う水をきれいにするためにも利用されました。ポリグルタミン酸の活用の幅はますます広がっています。

 また、最近では、ポリグルタミン酸にすぐれた吸水性があることもわかってきました。ポリグルタミン酸を主成分にした「納豆樹脂」なら、1グラムで5リットルもの水を吸収し、保水できるという驚くべき研究結果が出ています。さらに、納豆樹脂を植物といっしょに埋め、1回水やりをするだけで、その後は水を与えなくても育つことが立証されました。この特徴を生かし、雨の少ない地域の緑化に利用しようという研究が進んでいます。納豆のねばりけのもとであるポリグルタミン酸が持つ可能性に、今後も注目が集まっていきそうです。


(2012年1月更新)