日本では、環境にやさしい自動車や家電製品がとても多くなっています。しかし、それだけではありません。大海原を走る船舶もハイテク化が進み、日本の造船会社は世界の最先端を行く技術で、使う燃料を減らし、二酸化炭素(CO2)の排出を少なくする「エコシップ」を造っています。日本は世界中の造船の20%前後を占める造船大国。こうした船を造り、地球環境に貢献しようとしています。
世界初の太陽光エネルギー船
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太陽光エネルギー利用を世界で初めて実用化した自動車運搬船「アウリガ・リーダー」
©日本郵船株式会社
大型貨物船は、小麦や大豆などの食料や石油、液化天然ガス(LNG)、鉄鉱石、自動車などさまざまな物を運びます。日本で一番大きい自動車運搬船は船内が14階建てで全長は約200?。一度に6400台もの乗用車を運ぶことができます。
これだけ大きいと燃料をたくさん使うのはもちろん、波の抵抗でさらに燃料を使ってしまうこともあります。使う燃料をなるべく少なくしたり、波の抵抗を少なくしたりして、CO2の排出を減らすのがエコシップの技術です。
その一つが太陽光エネルギーの利用です。それを世界で初めて実用化したのが、日本で2008年12月に就航した自動車運搬船「アウリガ・リーダー(AURIGA・LEADER)」です。この船は、甲板に328枚、面積約250平方?の太陽光パネルを設置しています。船の動力に占める太陽光の割合は1%程度に過ぎませんが、大型の蓄電池も世界で初めて設置し、太陽光エネルギーを貯め込むシステムも備えています。
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甲板に768枚の太陽光パネルを設置した自動車運搬船エメラルド・エース
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エメラルド・エースの太陽光パネル ©株式会社商船三井
2012年6月には、甲板に768枚の太陽光パネルを設置した自動車運搬船「エメラルド・エース(EMERALD・ACE)」も就航しました。この船は、停泊している時に使う電力をなくすのが特長です。航海中に太陽光で発電した電力をリチウムイオン電池に蓄え、停泊中はディーゼル発電機を止めて、太陽光の電力を使います。太陽光パネルは出力約160キロワットで一般家庭の約50戸分に相当します。船舶での太陽光の利用はまだ始まったばかりですが、これから徐々に本格化しそうです。