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高速道路実証実験(日産自動車 提供)
運転席に乗り込み、コンピューターに行き先を告げるだけで、目的地まで運んでくれる。そんな夢のような自動車の開発が世界各国で進んでいます。世界的な自動車メーカーがそろう日本でも多くの技術者たちが熱心に研究しています。
ミリ波レーダーを搭載
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高速道路で実験中の自動運転車。高速道路の入り口と出口をコンピューターが見つけて、目的地へ近づくとウィンカーを出して出口へ向かう。運転席に座った開発担当者は、ハンドルから手を離している。 © 共同通信社
大手自動車メーカーの一つは、コンピューターが運転する自動車を2020年までに発売することを目指しています。現在はテストコースを使って、道路にある障害物をよける研究を重ねています。雨や雪で見通しが悪いときでも、まわりにある物との距離を正確に測れるミリ波レーダーが200メートル先にある障害物を見つけます。試作した自動車には4台から6台のカメラも付いています。ミリ波レーダーで見つけた障害物は、コンピューターがカメラの画像を分析し、それが何かを判断します。歩行者であれば速度を落として安全に通りすぎ、大きな石などであればハンドルを操作してよけます。自動車の前方だけでなく、横や後ろも、ほかの自動車や自転車などがいるかどうか、レーザーの反射光で常に見張っています。
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自動運転車の「目」となるのはミリ波やレーザーなどだ (日産自動車 提供)
見通しの悪い交差点での衝突を防ぐ研究も進んでいます。交差点のまわりにインターネットとつながる通信設備を置き、近づいてくる自動車からの信号を受け取ります。この信号を近くにいる別の自動車に伝えることで、安全に交差点を通過できます。信号機にセンサーを取り付け、横断中の歩行者がいることを近くの自動車に知らせれば、歩行者との事故も防ぐことができます。
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インターネット回線を通じて、ほかの自動車が近づいていることを伝える (トヨタ自動車 提供)
信号に無線機を取り付ければ、あとどれぐらいの時間で赤に変わるか、近づいてくる自動車に伝えることもできます。コンピューターが運転する自動車は、信号で停止しないように速度を調節します。こうすれば、交通の流れは円滑になり、渋滞も減ります。

信号に取り付けたセンサーが、近づいてくる自動車に歩行者の存在をつたえる (トヨタ自動車 提供)